蜂の子、おやき、野沢菜……長野の名産品の「今」と「昔」

長野の名物であり、お土産物といえばおやきや野沢菜、蜂の子などがあります。
これら名物は昔からずっと変わらない品だと思われがちですが、実はひそかに進化し続けている部分もあります。

そこで長野県に行ったなら必ず食べておきたい名物やお土産物の「今」と「昔」についてご紹介します。

おやきの「今」と「昔」

長野県の名物といえばおやきですが、おやきに使われている材料や製法は時代が流れていくにつれて少しずつ変わってきています。

昔は水車小屋で挽いた自家製小麦に塩と水を加えて生地にして、中には味噌と油で味付けした季節の野菜や山菜をあんとして閉じ込め、作られていました。
さらに使用する小麦はハレの日と日常とで変わり、ハレの日は小麦ふすまを取り除いた白い小麦粉、日常ではふすまが混じった黒っぽい小麦粉を使用していたそうです。

さらに大きさも1個200~300グラム程度と大きく、焼くときは囲炉裏にかけた鍋で焼き色をつけてから、炭火にあてて表面を乾燥させ、囲炉裏の灰の中に埋めてじっくりと蒸し焼きにしたそうです。

家庭でつくる時代から、企業がつくる時代に

高度経済成長期に入ってから小麦は輸入ものが大半を占めるようになり、上記のような自家製小麦を使用したおやきは長野でも作られなくなりました。
代わりに長野名物やお土産ものとして、おやきを作るようになったのが企業やグループ団体です。

また作り手だけでなく、おやきの味も消費者の嗜好が多様化したことによって、いろいろな味のおやきが作られるようになり、皮をふっくらさせたやわらかいおやき、りんご味やカレー味などさまざまな味のおやきも登場しています。
ただし近年では原点回帰の流れも強く、昔ながらの自家製小麦に野菜、山菜を使用したおやきも再び作られるようになってきています。

蜂の子の「今」と「昔」

長野県では蜂の子を食べる楽しみはもちろんですが、蜂の子の採集や巣を大きく育てることもセットで楽しまれることが多く、食べるためというよりレジャーやスポーツ、娯楽の一貫として採集されています。
一方で蜂の子には長野県の名産品やお土産物としての需要もあるため、市販品として販売される蜂の子は、あらかじめ醤油で煮つけて加工したものを缶詰や瓶詰、パック詰めにして販売されています。

採集地域も食べ方も変わってきた蜂の子

蜂の子の缶詰は明治時代から製造がはじまり、需要の増加とともに業者も増加傾向にあります。
採取されるクロスズメバチも中部地方だけに限らず、海外や蜂の子を食べない地域から取り寄せたり、採取したりすることもあるそうです。

また食べ方も炒ったり煮つけたりする従来からの調理法だけでなく、和え物や揚げ物、燻製や焼き菓子など、さまざまな料理やお菓子にして食べられることが増えてきています。

野沢菜漬けの「今」と「昔」

近年、市販の野沢菜漬けは浅漬けタイプが多くを占めており、美しい緑色をした野沢菜漬けが「一般的な野沢菜漬け」として扱われていますが、実は昔からの野沢菜漬けはべっこう色をしています。

一般的な市販品の野沢菜漬けは、漬けてからの日が浅く美しい緑色をしています。
昔は11月から12月頃、初霜にあい柔らかくなった野沢菜の葉を漬け込み、一冬寝かせ発酵させていたため、昔の野沢菜漬けはべっこう色になる漬物だったそうです。

味が異なる、浅漬けと本漬け

浅漬けの野沢菜はしゃきしゃきとした食感と、あっさりした塩味が特徴ですが、発酵させて作る野沢菜漬けは酸味と独特の風味があります。
どちらの野沢菜漬けも通販を使えば今でも入手でき、それぞれに美味しさが異なるため、その時々の好みで使い分けてみるといいかもしれません。

一見、昔から何も変わらないように見える名産品・お土産物ですが、その時代時代に合わせて少しずつ味や姿も変化してきているよう。
長野県の名産品を味わうなら、ぜひ昔ながらの味と今の味、どちらがおいしく感じるか食べ比べしてみてください。

参考URL
おいしい蜂の子を食べてみよう
http://www.stackhands.com/01.html
蜂の子の食べ方いろいろ
http://s.noob.jp/03.html